The Story of Sky Piano

山の上で、
もう一度鳴りはじめた
ピアノ。

富士見パノラマリゾートの山頂、標高1,780m。
声楽家・根本崇史さんの歩み、長野市のご家庭で大切にされてきたピアノ、
そして多くの方の協力が重なって生まれた、天空ピアノの物語です。

声楽家・根本崇史さんのポートレート

自分の音楽は、
何のためにあるのか。

天空ピアノを主宰する声楽家の根本崇史さんは、16歳のとき、右手小指のけがでピアノ演奏をいったん断念し、声楽の道に進みました。東日本大震災のあと、自分の音楽は何のためにあるのかを考え直す時間があったといいます。

いま根本さんが大切にしているのは、「心に思いやりと希望を届けるあたたかい音楽」。山の上のこの場所なら、その思いをまっすぐに届けられると感じているそうです。

音楽は、心に届いてこそ意味を持つ。
ここでの演奏は、その原点に立ち返らせてくれます。

— 根本崇史(声楽家・天空ピアノ主宰)

使われなくなったピアノを、
必要とする人のもとへ。

根本さんは「ピアノリレー」という活動を続けています。使われなくなったピアノを、もう一度必要とする人や場所へつなぐ活動です。

弾かれなくなっても、持ち主の思い出が詰まったピアノがある。そうしたピアノに、もう一度活躍できる場所をつくりたい。根本さんは、そんな思いで一台一台と向き合ってきました。

天空ピアノは、長野市の方が約40年前に娘さんのために購入したアップライトピアノです。ピアノリレーのご縁で、この山頂に受け継がれました。あるご家庭で大切にされてきた一台が、山の上で新しい役目を得て、また人と人をつないでいく。それが、この活動に込められた願いです。

調律の様子

調律の様子

ピアノを綺麗にする様子

ピアノを綺麗にする様子

ホールとは違う、
山頂の響き。

富士見パノラマリゾートの山頂、標高1,780m。

八ヶ岳を望むこの場所では、ホールとは違った響きが生まれます。風の音や鳥の声、訪れた人の気配が、音楽に自然に重なっていきます。ここなら、訪れた一人ひとりが「自分だけの音」に出会えるかもしれない。私たちはそう考えています。

天空ピアノは、富士見パノラマリゾートのみなさんの協力なしには実現しませんでした。山頂にピアノを置き、守り続けていくという考えに共感し、支えてくださったことで、はじめて形になりました。

富士見パノラマリゾート山頂から八ヶ岳を望む

富士見パノラマリゾート山頂から八ヶ岳を望む

山頂の小屋に置かれたピアノ

山頂の小屋に置かれたピアノ

美しい場所は、
ピアノにとって厳しい場所でもある。

山頂の景色は美しい一方で、ピアノにとってはやさしい環境ではありません。標高が高く、寒暖差が大きく、冬には雪も降ります。運搬も設置も調律も、平地のようにはいきません。

そのため天空ピアノでは、年に数回の調律を行っています。

手当て、という言葉がありますが、ピアノも人の手によって蘇っていきます。

そんな思いで、この音を守り続けています。

山頂で出会った、
ある親子のこと。

きっかけとなった日に、ピアノを囲んで

きっかけとなった日に、ピアノを囲んで

出会いのあと、石島が建築家の大野宏さんに送ったメッセージと、その返信

出会いのあと、石島が建築家の大野宏さんに送ったメッセージと、その返信

天空ピアノでコンサートを開くことになったのは、ある日の出来事がきっかけでした。

私たちが根本崇史さん、ピアニストの鈴木夕里さんと一緒に、天空ピアノを見に山頂へ行ったときのことです。夕里さんがピアノを弾いていると、地元の小学校に通うお姉ちゃんと弟くん、そしてお母さんの3人が、演奏に耳を傾けてくれました。

演奏を聴いていた弟くんが、ふと涙を見せました。あとでお母さんにお話をうかがうと、この地域ではプロの演奏を聴く機会があまりなく、びっくりしたのだそうです。

その話を聞いて、私たちはこの地域の子どもたちに、もっと音楽を届けたいと思いました。上手に弾くことや、決まった聴き方を求めるのではなく、子どもたちが自由に音楽にふれ、自分の音を見つけられるような機会をつくりたい。そこから、コンサートの準備が始まりました。

実現までには、
いくつもの課題がありました。

ここからは、プロデューサーを務めるKotobito代表の石島知と、「森と、ピアノと、 」を営む株式会社とわいろ代表の廣瀬が中心となって動き、企画を具体的に進めていきました。

最初の課題は、屋外でピアノを演奏できる場所がないことでした。そこで、「森と、ピアノと、 」の設計も手がけた建築家の大野宏さんに山頂まで来ていただき、演奏の土台となるステージの設計をお願いしました。

霧の日の山頂で、ステージを試し置き

霧の日の山頂で、ステージを試し置き

八ヶ岳を背に、完成したステージ

八ヶ岳を背に、完成したステージ

山の天気は変わりやすく、雨への備えも欠かせません。ゴンドラ山頂駅に併設されたレストラン「スピカ」にもう1台ピアノを置き、雨の場合でも演奏できるよう準備しました。

雨天時の会場として準備した、レストラン「スピカ」でのリハーサル

雨天時の会場として準備した、レストラン「スピカ」でのリハーサル

夕里さんのご友人で、東京2020パラリンピックでも演奏されたピアニストの西川悟平さんにもご協力いただきました。子ども向けのワークショップも行っていただき、子どもたちが音楽にふれる入り口を増やすことができました。

地元の企業にも支えていただきました。石橋さん率いる株式会社ヤソにはクリエイティブ面でご協賛いただき、株式会社イマージの友さんは社長自らPA(音響)担当として現場に入ってくださいました。

キービジュアルを撮影する石橋さん。モデルは石橋さんのご子息

キービジュアルを撮影する石橋さん。モデルは石橋さんのご子息

ステージ上での機材セッティング

ステージ上での機材セッティング

そして、子どもたちに音楽の機会を届けたいという思いに共感してくださった地域の経営者の方々、特別協賛の株式会社アーキテクトラボのご支援により、第1回の開催にめどが立ちました。

完成したステージで試し弾きをする富士見パノラマリゾートの鵜木さん

完成したステージで試し弾きをする富士見パノラマリゾートの鵜木さん。鵜木さん無しにはこの企画は実現できませんでした。

ステージを拭き上げる

ステージを拭き上げる

拭き上げを終えて

拭き上げを終えて

150名の募集に、
200名を超える応募。

第1回のフライヤー(2025年9月15日開催)

第1回のフライヤー(2025年9月15日開催)

こうして多くの方の力が重なり、2025年9月15日、第1回の天空ピアノコンサートを開催しました。テーマは、

~Find Your Own Voice 自分だけの音を奏でよう~

150名の募集に対して200名を超えるご応募をいただき、たくさんの子どもたちとご家族に、山頂で音楽を楽しんでいただきました。

その後、うれしい動きも生まれています。このコンサートをきっかけに、地域で西川さんのコンサートを主催してくださった方がいたり、子どもたちが自分たちでコンサートを開いたりと、山頂でのひとときが、地域のなかで次の動きにつながり始めています。

第1回(2025年)の開催体制

主催 株式会社Kotobito、株式会社とわいろ
共催 富士見パノラマリゾート
後援 信州アーツカウンシル、一般社団法人日本未来支援機構
協賛 株式会社アーキテクトラボ、8Peaks family、Studio On_site、にじいろむじか、株式会社ミクロン精工、株式会社タクト
クリエイティブ協賛 株式会社ヤソ
映像協力 E-HEAD Production、マイセンド株式会社
ステージ協賛 株式会社イマージ

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子どもたちと音楽が出会う場を、
一緒に育てませんか。

子どもたちが音楽にふれる機会を、これからもこの場所で続けていきたい。その思いで、次回の開催に向けて準備を進めています。

八ヶ岳の自然のなかで、子どもたちが音楽と出会える場を、ぜひ一緒に育てていただけたらうれしいです。